NPO法人・三條かの記念館の開館25周年を記念して「柳生新陰流 講演会・演武会」が行われた。
新陰流の創始者・上泉信綱の子孫で米沢にお住いの上泉一治さんから歓迎の挨拶のあと、講師の柳生新陰流22世宗家・柳生耕一先生による「尾張に伝わった柳生新陰流兵法・武道の精神」の「講演」があり、会場の約70名の歴史好きな方や剣道関係者は熱心に聴講した。
講演会
柳生先生の「燕飛之太刀」の動画のあとに、上泉信綱から引き継いだ「新陰流」の教えは柳生家で大切に守りながら「柳生新陰流」としてさらに深く発展的に進化したことの説明があった。
・上泉信綱は相手を先に動かして後から斬って勝つ方法を発見。心の位をもって相手の動きを引き出しその動きに乗じて勝つというのが新陰流の極意
・スピードやパワーに頼る殺人刀(せつにんとう)に対し、新陰流は相手の動きを利用する活人剣(かつにんけん)が基本理念
・刀を使うときは、身体全体でのびのびと「性自然」の活(はたら)きで手と刀を一体化させ、足心で踏むこと
・転(まろばし)とは先入観をもたないニュートラルな状態のことで、「懸待表裏一隅を守らず」の心を養うことが修行の目的
演武会
柳生会14名の皆さんによる11目の「形の演武」が披露され、新陰流の奥義の体現にしばし時を忘れて拝見した。
体験教室
柳生会の皆さんの指導で小学1年生から高齢者まで約20名が「袋竹刀」をお借りして、新陰流の構えや斬り合いに必要な刀法、合撃(がっし)打ちなどを体験した。
質疑応答
新陰流に関することや剣道の稽古で疑問に思っていることの質問に、柳生先生が懇切丁寧に応答された。
会場の皆さんは戦国時代からの歴史ロマンを感じながら新陰流の神髄に触れることができ、心豊かなひと時となった。
テレビ放映
柳生新陰流がNHK・Eテレ「趣味どきっ!刀剣」で10月の6回目に放映予定。9月20日に雑誌が発売される。
報道
・山形新聞(9月20日版より転載)
剣道稽古会
「柳生新陰流 講演会・演武会」が終了した午後からは有志18名による新陰流に特化した稽古会が行われた。
講演会にもご参加の剣道範士八段・安部美知雄先生と、剣道教士八段・佐藤孝康先生、仁藤雅夫先生、三條貞夫先生の指導で、性自然を意識した木刀による素振り、剣道具をつけて斬り合いを意識した面打ち、体験教室で学んだ合撃打ちなどを研修した。
また、剣道時代10月号の記事に林邦夫先生(剣道範士八段・中京大学名誉教授)が柳生新陰流から学ばれた「懸待一致」の稽古法として提唱された「切り返しの切り返し」を行った。「隙を打たせて応じて打つ」の活人剣に通ずる稽古法であると実感した。
最後に全員で回り稽古となり、どんな場面でも位負けしない心を持つ稽古に挑戦した。